内部被曝を考察するブログ

2年近く前に骨折をしてから中断していた自転車通勤を再開しました。良い季節ですね。皆様がご健康でおられ、良い一週間でありますように。

補足(メスバウアー効果に関して)

2/27/2013執筆、12/26/2019 Yahoo Blogより移行公開

 

メスバウアー効果に関して、再度解説します。

ますは、通常の原子核崩壊。自由空間で、崩壊が起こったときには、どうなるか。
反跳エネルギーにより、γ線エネルギーの一部がロスしますし、ターゲット側の原子が、これまた自由に動いていれば、かなりの部分を運動エネルギーとして与え、吸収エネルギーは、その分小さくなります。現在の、放射線医学の理論で扱う事象は、すべてこの、一般的な放射線照射のパターンのみを想定しています。

次に、原子核が、固体中に、堅く固定されているときにはどうなるでしょうか。

線源側の原子核、ターゲット側の原子核、ともに固定されている時には、反跳エネルギーをロスすることなく、効率良いエネルギー伝達がされます。この、メスバウアー効果を利用したメスバウアー分光という手法は、科学の分野でよく使われる分析方法で、これを応用して、元素のspectrum解析を行うことが出来ます。皆さんもよくご存知の、NASAの火星探査機でも、火星の採取サンプルの分析方法として利用されています。

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図:いらすとや

つまり、線源側、ターゲット側がともに固定されていれば、格段に効率の良いエネルギー伝達が行われる、ということ。

 

原発事故直後から、既存の放射線医学の理論を批判的に眺めていたのですが、多くの見落としのある理論だということに気がつかれる方も多いことかと思います。その中の一つ、見落とされている条件というのが、当理論が重視している、放射性セシウムと、ある種のカリウムチャネルは、お互いに「固定」されている(なおかつ隣接している)、という条件です。

 

当理論ではこの、Cs137のβ崩壊直後、γ崩壊を起こす際、線源側(137Csのβ崩壊直後の137Ba*)、ターゲット側(Kir2.1の、Cs/Baに配位していたアミノ酸残基)が、互いに隣接・固定されていれば、効率良い、特異的なエネルギー伝達が達成しうる、という点に着目しています。

 

これが、従来の放射線理論の見逃していた点の一つで、従来理論は、すでに原子核から放出された後の放射線のことのみを考察してきました。しかし、放出前の原子核の挙動も考えることで、より効率の良い、より特異的なエネルギー伝達、という、新しい視点での見方が可能になります。

 

また、別項にて論じますが原子核崩壊時に伴う、配位座の変化、配位強度の変化が、その原子(Cs/Ba陽イオン)の周りに配位していたアミノ酸残基に対して、触媒として働く、という、新しい見方をすることができます(金属錯体による触媒、というのは化学の中で重要な位置を占めます。通常は遷移金属が錯体中心になったものが、触媒としての有利な特質を備えているとされますが、放射性原子核の場合には、崩壊時の配位座の変化、配位強度の変化という、新しいパラメータを与えてくれることになり、新しい触媒化学の見方を提供してくれることになると思います)。

 

今現在、そのような精度の良い分析方法があるのかは知りませんが、もしも将来、ガンマ線スペクトラム分析機の性能が飛躍的に改善し、極めて高性能、高精細の 分析が達成された暁には、おそらく、内部被曝中の生体からのCs137のエネルギー分析を行うと、Kir2.1の、別項で論じた触媒反応に要するエネルギー分だけ引いた箇所に、ピークが現れるのではないかと予想しています。(Kir2.1は4両体ですから、必要化学エネルギーの4倍分になるかもしれませんし、あるいは、1両体分、変化を起こせば、あとはallosteric効果でopen固定される可能性がある場合には、1,2,3,4両体分の4つのピークを持つことになるかもしれません)。そして、そのピークは、Kir2.1のCs嵌頓部位を変異させた個体からは消失することになるでしょう。

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野球を例えにとってみると、宇宙空間や無重力状態で、飛んできたボールを打ち返すことは至難の技ですが、地上の重力のもとでは、足場をしっかりと固定し、しっかりとインパクトをボールに伝えることができます。



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