内部被曝を考察するブログ

2年近く前に骨折をしてから中断していた自転車通勤を再開しました。良い季節ですね。皆様がご健康でおられ、良い一週間でありますように。

Kチャネルに「堅く嵌まり込んだ」状態で、Cs134/137が崩壊を起こしたら、どうなるか

<Kチャネルに「堅く嵌まり込んだ」状態で、Cs134/137が崩壊を起こしたら、どうなるか>

Csが、Kチャネル内でβ崩壊を起こしたときのことを議論してみたいと思います。


が、ちょっと疲れてきたので、映画の話でもしましょう。
アルマゲドン」って映画を、見たことある人はいるでしょうか?小惑星が地球に衝突するのを回避しようと、アメリカのヒーローたちが頑張っちゃう映画です。

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(他サイトからの転用です)


ヒーローたちが、小惑星を破壊するとき、表面ではなく、地中に穴を掘って爆弾を炸裂させたわけですが、
あのときの議論にも出てくるんですが、爆竹を手のひらの上で爆発させても、かすり傷一つ負わない。
でも、こぶしを堅く握り締めて、その中で爆竹を爆発させると、手が重症を負ってしまう、ということ。

イメージ 2
(他サイトからの転用です)

わざわざ、石油掘削人をかき集めて、スペースシャトルを飛ばして、危険な小惑星に降り立って、地面に穴を掘ったのは、実は、そういうことだったんです。奥が深いですね。

さて、セシウムカリウムチャネルの話に戻りましょう。

Csイオンは、Kチャネルの内部(注)に、堅くはまり込んで、長時間居座っているんでしたよね?

火薬の爆発と、原子核崩壊を同列に扱うことは、一種のミスリードだと思うけれど、上記のメスバウアー効果のことを思い起こしてくれれば、 「堅く足場に固定されたとき」の、原子核崩壊が、古典的なの原子核物理の理論の延長線上には留まらない、興味深い挙動につながるということくらいは、予想できるでしょう。



話は変わりますが、オワンクラゲGFPの話をして見ましょう。
下村脩先生が、GFP(緑色蛍光タンパク)を見つけたとき、イクオリンGFPがFRET(フェルスター型蛍光エネルギー転移)を起こすんじゃないかと睨んで、混ぜてみたんだけど、 最初の実験では、ウンともスンともいわなかった。

でも彼はそこで、すこし深く洞察し、エネルギー伝達の足場として、 DEAE-dextranか何かを加えたんだよね。すると、ものの見事に、FRETが起こった。 あれなんかも見方を変えれば、足場固定がエネルギー伝達での非線形性の創出に大事だ、といういい例とも見ることができる。

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(まあ、局所濃度の上昇、という説明をする人もいるのですけれどね)

(他サイトからの転用に手を加え作成しました)


実は、γ線の話のメスバウアー効果と、この、蛍光のエネルギーの伝達って、面白い関係にあって、メスバウアー自身も、メスバウアー効果の発見の実験の際には、蛍光のメカニズムを、よく、引き合いに出していたそうです。前者は、原子核の共鳴現象、後者は、電子雲の共鳴現象、と考えれば、その類似性に、先達も気が付いていたのですね。

さて、CsとKチャネルの話に戻りましょう。言うまでも無く、

Cs137-->Ba137m + e- + ν-
Ba137m-->Ba137+γ
ですよね。

普通の学者は、e-やγのことだけを論じます。教科書に書いてあるとおりです。

でも、私なんかは、残されたBaの状態を見てあげたいなあ、と思うわけです。
e-の放出時の反跳で運動エネルギー(熱振動)も獲得してるし、γ線も放出する(メスバウアーを思い出して)。
現段階では可能性だけの議論ですが、

1.Cs+ --> Ba++ に変わったとき、本来の水和水の配置とその結合の強さが当然かわるだろうから、その変化が、「ガチガチにはまり込んだKチャネルの開閉部」への化学反応の触媒的役割になっていないか、という可能性。
2.メスバウアー効果のたとえが正確かどうかは分かりませんが、β崩壊直後にγ崩壊も起こすので、「共鳴」とまでは行かずとも、K-channelの特定部位にエネルギーを効率よく(フリーの空間での作用に比べて)行っている可能性。
3.足場固定された固体中でのβ崩壊に関しても、メスバウアー効果に似たような、効率よいエネルギー伝達の可能性はあるんじゃないか。


等々。

 

という風に、元素の挙動の違い、というか、生命体分子(この場合はKチャネル)から 見たときの、K40とCs134/137の「見え方の違い」というのを考えると、冒頭に書いたように、 K40は、一切障害なし。内部被曝にカウントする必要すらない、(少なくともKチャネルに対する影響は)。
Cs134/137はKチャネルに与える影響あり。

という意見も、一つの可能性としては、考えておかねばならない、と思うわけです。


Kチャネルの開閉部がガチガチに開かれ、デカイCsイオンに嵌まり込まれ、グリグリと押し広げられたような状態で、崩壊が起こり、何らかの結果として化学反応が促進する。

やはり、崩壊時のイベントの結果、チャネルがopenな状態に固定されるようなモデルは、想定してもいいんじゃないかなあ。

どんな化学反応になるのか、、、さすがに、化学に詳しくないんで、ちょっと予想が付かないけれど。
不安定なCs/Baが触媒みたいに働いて、分子内の可動部のヒンジみたいなところでアミノ酸残基のフリーの側鎖どうしで反応が起こるとかでしょうかね。(その後、少し考察を進め、どの位置で反応が起こりそうか、起こった際の影響を具体的に詰めています。全体的な理論を定量的にサポートする反応は起こりそうだというのが現時点での個人的感想です)

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(他サイトからの転用に手を加え作成しました)



以上をまとめると、ごく微量のセシウム内部被曝で、ごく微量の、ある種のカリウムチャネルが、オープンの形で壊れる、というモデルを可能性としては想定しておくべき、というのが結論です。



次に議論するのは、では、いったい、その極微量のカリウムチャネルの異常で、心臓の伝道系に問題を来たしうるのか?というのが、テーマです。

 

(11月/2015:注) その後、考察の練度とともに、若干の修正を加えました
(4/15/2016:注) Kチャネルの、どこにはまり込みやすいか、どのような変化が実際に起こると考えられるのかに関しては、現在記事を執筆中です。
(12/23/2019)open固定Kirチャネルの出来方の記事を公開しました。この記事で一番最初に考察していた通り、ヒンジ部前後のアミノ酸残基同士の分子内結合で、すべての整合性がつき、綺麗に説明できることになりました。その後の考察では、エネルギーとして利用されるのは、β崩壊ではなく、その後のγ崩壊の方由来のものではないかと考えています。
(1/24/2020)この理論を誤解する方が多いようなので断っておきますが、「Kチャネルが壊れる結果、細胞死が起こる」と論じていると勘違いされておられる方がおられるようなのですが、違います。Kチャネル(特にKirチャネルというグループ)が壊れた(オープン固定された)時に、その細胞の興奮・脱興奮のリズムのタイミングが遅れることを論じています。タイミングの遅れに関する該当補足記事