内部被曝を考察するブログ

2年近く前に骨折をしてから中断していた自転車通勤を再開しました。良い季節ですね。皆様がご健康でおられ、良い一週間でありますように。

Bandazhevskyのデータと、その他の疫学調査との整合性

ごく微量のセシウム内部被曝で、心臓伝道系の障害や神経症状が起こる、というデータは、あまりに衝撃的な内容なので、まず、その他の疫学調査との整合性を確認したいと思います。


わが国では、都築正男先生が、広島原発後に、「慢性被曝症状」というものをレポートされておられるのが最初と認識していますが、肥田舜太郎先生が、生涯をかけ、「ぶらぶら病」という障害を訴えつづけられてこられました。サボっているわけではないのに、からだがダルい、という症状です。

心臓伝道路系に障害が起きますと、不整脈を頻発するようになります。私も経験がありますが、ごくわずかな不整脈で、頭がフラフラしたして、寝込んでしまいたくなるダルさを覚えることもあります。もちろん、原発ぶらぶら病のすべての症状が不整脈が原因で起こるわけではなく、似たようなメカニズムで、神経症状につながったり、軽度の末梢循環不全の状態も想定できますから、複合的に、説明されるべき症状なのでしょう。ただ、決して「不定愁訴」と切り捨ててしまうような、精神状態からの原因で、これらの症状が、複数の臨床医によって、独立に記録されているとは思えず、器質的な病状として、きちんとこのような状態が存在する可能性が高い、と私は考えています。

以下に、チェルノブイリ事故後の、各種の独立調査をリストアップしておきます。諸般の解説によると、汚染地区の住民が、地元の無検査の食材を食べ続けた結果、このような症状につながっていると考えている学者が多いようです。共通するのは、「現行の理論では説明できないほど、高率にぶらぶら病様の症状がみられる」、ということと、いずれも、「事故後、数年たってからのレポート」が多く、やはり、事故後の汚染食材を食べ続けた結果、数年間の内部被曝蓄積の結果、同様の症状を発症している、という可能性が高いと考えています。


Blet’ko, T. V., Kul’kova, A. V., Gutkovsky, I. A. & Uklanovskaya, E.
V. (1995). Children’s general morbidity pattern in Gomel
Province―1986-1993. International Scientific and Practical Conference
Devoted to the Fifth Anniversary. Gomel Medical Institute, November
9-10, 1995, Gomel (Treatise, Gomel): pp. 5-6 (in Russian).

Gutkovsky, I. A., Kul’kova, L. V., Blet’ko, T. V. & Nekhay, Y. E. V.
(1995). Children’s health and local levels of Cesium-137
contamination. International Scientific and Practical Conference
Devoted to the Fifth Anniversary. November 9-10, 1995, Gomel Medical
Institute, Gomel (Treatise, Gomel): pp. 12-13 (in Russian).

Arinchin, A. N., Avhacheva, T. V., Gres’, N. A. & Slobozhanina, E. I.
(2002). Health status of Belarussian children suffering from the
Chernobyl accident: Sixteen years after the catastrophe. In: Imanaka,
T. (Ed.). Recent Research Activities about the Chernobyl Accident in
Belarus, Ukraine and Russia, KURRI-KR-79 (Kyoto University, Kyoto):
pp. 231-240.


などなど。その他複数の独立調査あり。

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(2020年1月補足):チェルノブイリ事故後の汚染地域の居住民の調査で、放射線被曝「線量」からは、とても説明がつかないような、多くの健康障害の報告が、相次ぎました。現行の放射線医学の計算には合わない事もあり、そのような現地調査は、様々な理由をつけ、体制理論派からは、切り捨てられ、現行の放射線医学理論(xxmSvが云々という理論)が自己強化に陥り、循環論法に陥ってしまっているのが現状で、学問としては御法度の事態に陥っています。一方、現行理論批判派も、チェルノブイリ事故後の多彩な健康障害を、内部被曝によるものだろう、という漠然とした推測はしているものの、現在にいたるまで、症状をうまく説明するrobustな理論を持ち得ていません。「内部被曝によるものだ」という漠然とした説明では、現行理論信奉派、体制理論派からは、「だって、そのくらいのわずかな内部被曝は、もともと体内にあるカリウム40や、トリチウム、C14などで、常時被曝しているだろうに」と、一蹴されてきたというのが、これまでの歴史です。これは、現状の放射線医学の体制理論が正しいから、ではなく、現行理論批判派が、批判の批判に耐えうる、緻密でrobustな理論を持っていなかったからです。しかしながら、例えば放射性カリウム放射性セシウムが、人間のような高等生物のシステムに及ぼしうる影響の明確な差は、当理論の本稿で論じている通り(一連の本稿補足記事1補足記事2などを参照)ですし、体内に存在する程度のトリチウムやC14では影響はほとんどない、ということも、生命体分子の機能に与える影響などを丁寧に考察していけば、きちんと導く事ができます。当理論の本稿で主に論じているのは、放射性セシウムによる心筋症ですが、それにとどまらず、当理論に沿った方向で考察すると、僭越ながら、チェルノブイリ事故後の多くの多彩な症状にも、ある程度一貫した説明がつけられる運びとなると考えています。多彩な症状に関する議論も、2015年に補足記事を用意しています。ご参照ください。

 

 


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